え、そんな機能あったの?定番エンコードソフト「TMPGEnc」に隠された意外な実力5選
TMPGEnc Video Mastering Works 8
動画愛好家の間で「TMPGEnc」は、
高品質かつ多機能なビデオエンコードソフトとして広く知られています
パワフルな反面、少し専門的というイメージを持つ方も多いかもしれません
しかし、6年ぶりのメジャーアップデートとなる「TMPGEnc Video Mastering Works 8」が、
登場した今、単なるファイル変換ソフトという枠をはるかに超えた、
驚くべき実力に光を当てる絶好の機会です
今回は、長年のユーザーでさえ見逃しているかもしれない、意外で強力な5つの機能をご紹介します
これらを知れば、あなたの動画制作ワークフローが劇的に変わるかもしれません。
「DVD/Blu-ray作成」ボタンは、実はディスクを作らない
まず、最も誤解されがちな機能から見ていきましょう
TMPGEnc Video Mastering Worksの出力設定には、
「DVD向けMPEGファイル」や「Blu-ray向けMPEGファイル」という項目があります
これを見て、
「このソフトで直接テレビで再生できるディスクが作れる」と考えるのは自然なことです
しかし、これは大きな誤解です、この機能の真の目的は、
オーサリングソフトに動画ファイルを受け渡す際に発生しがちな、
画質を劣化させる「再エンコード」を未然に防ぐことにあります。
TMPGEnc Video Mastering Worksはあくまでエンコード・編集ソフトであり、
ディスクを作成するためのオーサリングソフトではありません
実は、ペガシス社は、本ソフト(エンコーダー)と
「TMPGEnc Authoring Works」(オーサリングソフト)が連携するエコシステムを構築しており、
この出力設定はその2つを繋ぐ重要な「架け橋」なのです
この設定は、動画ファイルをあらかじめDVDやBlu-rayの規格に準拠したMPEG形式に変換します
これにより、無劣化編集に対応したオーサリングソフト側で再エンコードが不要となり、
最高の画質を維持したままディスク作成が可能になります
オーサリングソフトに渡すためのファイルを作成したということになります
無劣化に対応したオーサリングソフトを使用すれば再エンコードされないので、
映像の品質を損なわずにDVDに書き込むことができます。
つまりこれは、最終的なディスク品質を最大限に高めるためのプロフェッショナルな一手間
画質を何よりも重視する同社の設計思想が色濃く反映された機能と言えるでしょう
TMPGEnc Video Mastering Works 8|ダウンロード版
スマホ動画の「音ズレ」を“知らないうちに”修正している
スマートフォンで撮影した動画の「音ズレ」は、多くの動画制作者を悩ませる深刻な問題です
特にインタビューやゲーム実況など、長尺の映像では映像と音声のズレが致命的となり、
せっかくの素材が使い物にならなくなることさえあります
この問題の原因は、スマートフォンがデータ量を抑えるためにフレームレートが変動する
可変フレームレート(VFR)で記録するのに対し、Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveといった
プロ向けの編集ソフト(NLE)が固定フレームレート(CFR)を前提としている点にあります
このミスマッチが、時間と共に同期ズレを引き起こすのです
TMPGEnc Video Mastering Worksには「VFRを修正」といった専用ボタンはありません
しかし、このソフトは“知らないうちに【この問題を完璧に解決しています】なぜなら、
このソフトで処理・エンコードされた動画は、例外なく常にCFRで出力されるからです
音ズレに悩まされているスマホ動画を、
本格的な編集作業の前に一度このソフトで再エンコードするだけ
それだけで、最も厄介な同期問題から解放され、計り知れない時間とストレスを節約できるのです
「スマートカットモード」で“削除したはずのシーン”を復活させる
バージョン8で新たに搭載された「スマートカットモード」は、カット編集の常識を覆す、
まさに革命的な機能です。
従来のカット編集は、一度不要な部分をカットして編集を確定すると、
その映像フレームは完全に削除される「破壊編集」でした
後から「やはりあの部分が必要だった」と思っても、最初からやり直すしかありません
長尺のドキュメンタリーやウェディングビデオを編集したことがある人なら、
カットを「確定」する瞬間の、あの独特の緊張感に覚えがあるでしょう
しかし、「スマートカットモード」は非破壊編集です
カットした部分は実際には削除されず、「再生時にスキップする」という印が付けられるだけ
カット後の状態は「スキップ再生」機能でいつでも確認できます。
最大の利点は、「削除」したはずのフレームがデータとして残っているため、
後からカットの開始点や終了点を自由に微調整したり、一度カットしたシーンを簡単に
「復活」させたりできることです
さらに驚くべきは、あるユーザーが報告しているように、
従来のノーマルモードで編集ミスをした後でも、
スマートカットモードに切り替えることで編集をやり直して窮地を脱したという実例です
一度編集ミスった時にノーマルモードからスマートカットモードにして
再編集できたのでとても助かりました
この機能は、やり直しの恐怖から解放され、比類なき柔軟性と精神的な安心感をもたらす、
すべての編集者にとっての救世主と言えるでしょう。
AIのように賢い「自動文字起こし」がGPUで爆速化する
動画に字幕を入れる作業は、非常に時間と手間がかかります
TMPGEncの自動文字起こし機能は、そんな常識を覆す変換+編集ソフトです。
この機能は、動画内の音声を解析し、字幕用テキストを自動で生成します
その精度は「かなりいい」と評価されており、固有名詞などに若干の修正は必要ですが、
文脈を読み取って自動で句読点まで挿入してくれる賢さを備えています
しかし、最も驚くべきはその処理速度と、そこから得られる知見です
この処理はPCのグラフィックボード(GPU)で高速化できますが、その結果,
非常に示唆に富んでいます。あるレビューで30分の動画を処理した際の結果を見てみましょう
- CPU: 30分
- CUDA (旧世代GPU技術): 1時間30分
- Vulkan (Intel Arc搭載のモダンGPU): 9分
ここで奇妙な点に気づくでしょうか。旧世代のGPU技術であるCUDAは、
なんとCPUの3倍も時間がかかっているのです
これは、必ずしもGPUアクセラレーションが万能ではないことを示す好例です
真のブレークスルーは、
Vulkanのような最新技術に対応したモダンなハードウェアによってもたらされます
CPUの3分の1以下、わずか9分で処理が完了するのです
この機能は、単に文字起こしを自動化するだけでなく、最新のハードウェアがいかに、
制作ワークフローを根底から変える力を持っているかを示しています
高度な追跡機能付きモザイクで、面倒な作業を自動化
エンコードソフトの付加機能とは思えないほど高度な「部分モザイク」フィルターも、
このソフトの隠れた実力の一つです
これは、プライバシー保護などで人物の顔やナンバープレートを隠す際に、
何時間もの退屈な手作業から解放してくれる機能です
従来、動く対象にモザイクをかけ続けるには、1フレームずつ手作業でモザイクの位置を調整するという、非常に根気のいる作業が必要でした、しかし、本ソフトはその常識を覆します。
洗練されたオブジェクト追跡アルゴリズムを使用し、
モザイクをかけたい対象を一度だけ選択して「追跡開始」をクリックするだけすると、
ソフトウェアが対象の動きをフレームを越えて解析し、位置やサイズを
自動で調整しながら追従してくれます
さらに強力なのは、最初の解析でシーン内の複数の人物を自動で検出し、個別に追跡できる点です
このレベルの自動オブジェクト追跡は、
通常、Adobe After Effectsのような高価なVFX専用ソフトに搭載されている機能です
面倒な作業をインテリジェントに自動化するこの機能は、本ソフトが単なるエンコーダーではなく、
強力な映像編集ツールであることを雄弁に物語っています
TMPGEnc Video Mastering Works 8|ダウンロード版
まとめ
「TMPGEnc Video Mastering Works」は、
単なる「動画変換ソフト」という言葉では語り尽くせない、
奥深く多機能な動画変換+編集ソフトです
今回見てきた機能には、一貫した設計思想が流れています
それは、徹底した画質維持(無劣化オーサリング連携)、
制作ワークフローの劇的な効率化(VFR問題の自動解決やモザイク自動追跡)、
そして創造性を解き放つ非破壊編集の柔軟性(スマートカットモードや高速文字起こし)です
これらは単なる機能の寄せ集めではなく、
本格的な趣味のユーザーやプロフェッショナルが求める精度と効率を追求した、
一貫性のあるソフトなのです

